冬至。

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また彼はプレゼントを携えてやってくる。
「だから君ねぇ毎回毎回何か持ってこなくてもいいんだよ?」
嗜めるように言うと彼は訳がわからないと言うように首を傾げた。
「俺はお前からありがとうと言ってもらえるとここの辺りがあったかくなるんだ」
軽く胸をさすった。
「だからありがとうと言え」
愛を与えられないで育った彼は毎回プレゼントの見返りに「ありがとう」を欲しがった。
「…ありがとう」
形式的に応えてやる。
「でもね、すごくありがたいし嬉しいけど毎回貰ってばかりじゃ心苦しいんだ」
「ありがとうと言えばいい」
「うん…でもこう言うのはね、例えばそう…このケーキの入った箱」
中身を取り出して空っぽにする。
「例え中身が入ってなくても君が持って来てくれるだけで嬉しいよ。来てくれるだけで充分なんだよ」
目の前の男は、一層訳がわからないと言う顔をした。
「だからこれはその…気持ちの問題だから。君が会いに来てくれるだけで充分なんだよ」
少しごわついたその髪をそっと撫でる。
まだ納得がいかない顔をしたままの男は、僕の口にケーキを差し出す。
「でもアンタ甘いもの好きだろ?」
苦笑してそのまま目の前に差し出されたケーキをひとくち齧った。
いつかこの愛を知らない男にこの気持ちが伝わるといい。



               📦(贈り物の中身)

12/3/2025, 9:33:34 AM