もし明日死ぬとして最後にひとつだけ願いが叶うとしたら何を願うのだろう。
俺は結構な頻度でこんなことを考え込んでしまう。
それは、自分が国語の教員だから生きることや死ぬことを人より身近に考えているせいだと信じたい。
決して死にたいなどと思ったことは無い…というのは真っ赤な嘘になってしまうがまぁ今の所生きてもいいかなと至極偉そうなことを思っている。
「生きる事は死ぬ事の裏返しだからね、切り離して考えられないのさ」
俺の言葉の意味も全く分かっていないような顔で俺を見上げる貴方。
ぽかんとしてる顔もくやしいけど愛らしい。
口になんて出せそうにもないけれど。
「最後にひとつだけ…」
死ぬとして、最後に願いが叶うなら、健気に追いかけてくれる貴方に気持ちを伝えられない臆病な俺の返事を言うぐらいは許してくれるかな。
2024.4.4『ひとつだけ』
4/4/2024, 10:00:31 AM