初心者太郎

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私はぼっちだった。運動は苦手だし、人と話すことは得意じゃない。
でも私は、そんな私を変えたかった。

だから、これから始まる高校生活では色々なことにチャレンジしてみようと思っている。

そして迎えた初日。
入学式を終えると、教室で自己紹介をした。前日まで一生懸命考えた自己紹介は、緊張で消えて水の泡になった。拍手があっただけマシだと思う。
初日は、次の日の予定を確認して解散となった。

私はメモ帳を広げて、『やることリスト』を見た。
・友達をつくる・部活動に入る
他にもたくさんあるが、この二つは絶対に達成したい。

これが達成できない世界線は、もう知っている。ぼっち街道まっしぐらだ。それだけは絶対にダメだ。

放課後は部活動見学の時間だった。
とりあえず文化部を回った。音楽はできないから吹奏楽部は除外して、絵が描けないから美術部は除外して、品がないから茶道部は除外して……。そんなことをしていたら、いつの間にか最後の教室に来ていた。

「はいっ!」

畳を叩く音が聞こえた。中を覗くと、二人が向き合って百人一首をしていた。ここは競技かるた部だ。

「あれ、新入生?見学していく?」

私に気がついた先輩が声をかけてくれた。

「はい」

即答だった。最後だから仕方ないとかではなく、純粋にやってみたいと思った。見学ではあったが、体験もさせてもらえた。それは予想通り、本当に楽しかった。

私は、競技かるた部に入部することにした。
きっと今までの私なら帰宅部になって、この部活に出会うことはなかっただろう。

『あの時、ああすれば良かった』なんて、後悔しないように全力で楽しもうと思った。
この調子で頑張ろう、私!

お題:パラレルワールド

9/25/2025, 3:26:00 PM