飛花

Open App

ずいぶんと遅くまで残ってしまった。時はすでに20時。今日文化祭があったとはいえ、これほどまでに遅く残るのは、流石に先生に怒られてしまった。
独りで帰る。わたしの学校が駅近なこともあり、ほとんどの生徒が電車で登下校する。だから、徒歩のわたしはいつも一人で登下校している。それなのに、なぜだか今日はそれがひどく寂しくて少し悲しい。下だけを見てとぼとぼと歩いていた。
疲れていたはずなのに、帰りたくなかった。無意識の内に、海に着いていた。歩いて1時間ほどはかかるはずなのに、まだ10分しか歩いていない気分だった。
残業でできた光。海沿いの工業地域が輝いていた。どうにもその光はわたしを落ち着かせない。なんだろう、もうとっくに気力だけで働いているような、そんな気分。わたしと同じだ。
あ、そういえば今日の夕飯シチューって言ってたっけ。早く帰んなきゃ。
高校生の考えはすぐに変わるものだ。重たい足がとれて、わたしは帰路に着いた。





#夜景

9/19/2023, 4:05:30 AM