無名庵

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好きだよ

「…好きだよ」
何となく彼に言ってみた。いや、言いたくなったのだ。彼の端正な横顔と艶やかな髪。彫刻を思わせる肉体と思わず耳を傾けたくなる、低く優しい声。その全てが彼の意思によって私に向けられると思うと、声を出さずにはいられなかった。
 彼は少し目を見張り、くしゃっとした笑顔を見せた。
「知ってる」
彼は私の頭をわしゃわしゃ撫でながら言った。そして私の額に優しくキスをした。
 今夜は寝られなさそうだ。

4/5/2025, 2:27:00 PM