『あの日の視線の先に』
君が窓の外を見ていたとき
僕は君の瞳ばかりを見ていた
でも 本当に大事だったのは
君が 何を見ていたかだったんだね
手をつないだ瞬間も
言葉を交わした夜も
僕はそれらを“形”として記憶してた
けれど君は そのたびに
未来を見ようとしていたのかもしれない
あの沈黙も 何かを隠してたわけじゃなく
何かを指していたのだろう
僕にはそれが
ただの“わからなさ”に見えていたけれど
人生って きっとそうだ
起こったことそのものよりも
「そのとき、自分がどこを見ていたか」
それが 全部を決めている
今 ひとりきりでコーヒーを飲んでる
湯気の向こうに
誰かの気配がある気がして
ふと目をやった その先に
空が広がっていた
君が見ていたのは
この空だったのかもしれない
僕が気づかなかった
“見つめるという優しさ”を
あのとき、君は知っていた
遅いけど ようやく
僕もそっちを 見始めてる
7/26/2025, 2:25:14 PM