「プール入りてぇえええええ!!!!」
住宅地のど真ん中から心からの叫びが聞こえた。
そっと窓から外を伺うと、近所の小学生がわいわい言いながら下校しているところだった。
「熱中症になる!プール!プールにしよう!!ランニングとか無理!!!」
「こんだけ暑いならプールにしてほしいよなー!」
小学生特有のクソデカボイスが住宅地に響く。もう少し静かにしろ。
俺がガキの頃はもうちょっとまとも……いや、そうでもないな。ガキの頃公園のフェンスとか壊したし、なんだったら当時の俺はかなりクソガキだな。
「あーあ。夏休み終わっちゃった」
がっかりとした声が住宅地に響く。
「おれ終わってよかったよ」
「えー!?」
不服そうな友人に対して、にっこりと笑みを浮かべて続けた。
「だってお前と毎日学校で遊べるじゃん」
「一緒にSwitchしたいから学校休みの方がいい」
俺はいつからこんな友情が育めなくなったんだろう。あの頃は毎日が違ってキラキラしていて、どんよりした空気など全く感じなかった。
年をとって、あの夏に忘れてきてしまったのだろうか。
……探しに行けるのだろうか。
少し悲しくなったところで、ふと小学生たちと目が合った。
合ってしまった。
……はい。どうも、はい。警察ですよね?ご苦労様です。……いえ、不審者じゃないです。断じてないです。前回も通報……はい、されました。されましたけれども。2回目ですけれども。不審者じゃないです。男の子2人見てただけ……え、片方は女の子?いえ、ロリコンじゃないです。断じてロリコンじゃないです。本当です。ショタコンでもないです。ボインなお姉さんが好きなんです。胸派です。何言わせてるんですか。本当です。本当なんです。お巡りさん信じてください。
【夏の忘れ物を探しに】
9/2/2025, 8:08:20 AM