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「良かれと思って」の笑顔から下される善意とは、時に振り切れないほどの重みをまとうのだ。

それを告げた当人の性格は朗らかそのものであり、何一つとして悪気はない一言だったことが分かる。
だが同時に、受け取る側の視点からしてみれば、どれもこれも関係のないことでもあった。

毒と薬、それはよく言ったものだと思う。
そう、目の前のこいつが居る限り、自分にとって良くも悪くも変わらない日々が何処までも続く。
ならば今こそが“潮時”なのだと、彼は理解し、己の意志を認めた。

用意周到に忍ばせていた一つの決意が、静かに強固に、悪意の方向へと定まった瞬間だった。

【善悪】

4/26/2024, 1:55:01 PM