ストック1

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花の香りと共に目を覚ました
起き上がると、一面の花畑
おおっと?
私は死んでしまったのかな?
ここに来る前は確か
ああ
人生なんにもうまくいかなくて、自暴自棄になった末、通り魔と刺し違えて死んだ気がする
誰かをとっさに庇うとか、捕まえようとしてとか、そんなんじゃなくて、殺意を持って相手に襲いかかるあたり、完全に自暴自棄だったな、私は
私と通り魔がお互い唯一の被害者なのがまだ救いか
通り魔も悪いんだけど、相手が暴れてるからって自分の人生の不満をぶちまけるように殺意を向ける私も、向こうとたいして変わらないかもな
とか思って横を見たらいるよ、通り魔が
私と同じところに送られてるよ
なんか、通り魔も困惑してるな
それはそうか
やっぱり死後だな、ここ
なんだか気まずい

「あなた達に、異なる地でもう一度人生を与えましょう」

背後から声がした
二人して振り向くと、いかにも女神です的な外見の女性がいた
おやぁ?
異世界転生させてくれる感じ?

「話が早くて助かります
言い方はちょっと失礼ですが、同じ世界に転生させてもなんか、同じような結末を辿りそうな予感がするんですよね
本質がそういう感じなので
世界と反りが合わない的な?
あなた達も世界も、互いに相手の枠に全くハマれない的な?
要は外れものですね」

失礼だな本当に
事実なんだろうけど

「なので、今度はお二人にあった世界で、出血大サービスとして記憶も保持したまま、いい感じの状態で転生をしていただこうかと」

そうかぁ
自暴自棄になってたけど、もう一度チャンスを貰えるなら、がんばってみようかな
名も知らぬ通り魔もよかったな
次は真っ当に生きような
私も今度こそ真っ当に生きるさ

「お二人の行く先は同じ世界です
では、行きなさい」

私たちは、眩い光に包まれ、転生を果たした
その先の世界は……

あれ?
あまり世界の雰囲気が変わってないような
なんか、隣の元通り魔も困惑してるな
そういえば、赤ちゃんから開始じゃないんだね
いい感じの状態ってこういうことか
頭の中に女神の声が響く

「あなた達の新たな世界は、社会のシステムがほんの少しだけしか違わない、けれど、あなた達にとってとても過ごしやすい世界です
前世の記憶のおかげで1からこの世界を学ぶ必要もありませんし、以前よりもよい人生を送れるはず
最初は少しナビゲートしますけど、それからの生活はあなたたち次第
がんばってくださいね」

ま、下手にファンタジー世界に送られてもね
憧れはあるけど、苦労しそうだよね
こういう異世界転生もありか
じゃ、これもなにかの縁だし、隣の元通り魔さんも、一緒にがんばっていい感じの人生を、今度こそ送りますかね

3/16/2025, 11:01:42 AM