鶴づれ

Open App

神様だけが知っている


 星が薄くなった夏の夜。3番線ホームには人がちらほらといる。みんな、今日最後の東京行きの特急を待っているのだ。

 特急乗車口の近くの椅子に、腰掛ける。背負っていたリュックは、膝の上に置いた。それが合図であったかのように、どくんどくんと、胸が鳴る。

 私がこの先どうなるかは、誰も知らない。私だって、よくわからない。
 夢を叶えられる?叶えられないまま、諦めてしまう?またこのホームに降りることはある?向こうにはどんな人がいる?

 疑問と希望を数えてみたけど、やっぱりよくわからない。東京という街は、それほどまでに未知だ。

 ホームの屋根の上に、星の少ない空が見えた。
 分からないことだらけだけど。

 未来で、誰かを救う歌を歌っていられたらいいな。

7/4/2023, 12:28:10 PM