謎い物語の語り手

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【手を繋いで】

祭りの終わり、花火を見ながら参道を歩いていたらいつの間にか一人になっていた。

太鼓の音はするし、人の声も聞こえるのに周りには誰もいない。姿だけが見えなくなったようだった。

怖くなって走り出したけど、どこを探しても無駄だった。泣いていると、女の子がこちらにやってきた。

「こんなところで何をしているの。早く帰って」

心細いのに、そんな冷たく言われると少しムッとした。

「私だって帰りたいよ。貴方は誰なの?」

女の子は少し答えに躊躇った。
「私は……。ううん、私のことはいいよ…」

悲しげに言う女の子に私は少し罪悪感がした。
「あなたの浴衣可愛いね。見て、私の汚れちゃった」

女の子は私のことを見た。その表情は変わらなかったけど、こっちに来て手を差し出してきた。

「帰り方、分からないんでしょ。まだ戻れるから。手を繋いで。」
「あ、ありがとう」

手を取ると、少し冷たかった。私たちは歩き出した。

12/10/2024, 10:03:52 AM