《思い出す日々》
(刀剣乱舞/燭台切光忠)
時々夢を見る。
あの日。揺れる地面と迫り来る火。
そして開かれた扉から一瞬見えた人の顔と、眩いほどの光。そして熱。
気がつくと身体中が真っ黒で、「これはダメだな」と終わりを察したこと。
そして思い浮かぶのは伊達家や水戸徳川家で出会った刀や人々の事。
これを人は《走馬灯》と呼ぶのだろう。
別れの言葉も言えず去ることの悔しさや悲しさを感じながら、朦朧とする意識の中。
炎とは違う熱を感じながら、意識を失ったこと。
気が付くと、あの日の傷を抱えたまま生き長らえていた。
最早日本刀とも呼べぬ、鉄屑同然の己を愛おしむ人々へ
別れの言葉はまだ言わなくて済んでいる事を。
そして今。
審神者の手によって励起され、その手に抱える自身は在りし日の己自身。
「僕はまだ、刀として戦えるんだね」
長船派が祖・光忠が1振り、燭台切光忠。
刀としての自身に別れはまだ来ない。
9/28/2024, 1:20:39 PM