もう嫌だ、失敗したくない。
僕はいつも上手くいかない。
綺麗な色をつけることができければ、人よりだいぶ成長も遅い。
もうこのまま枯れてしまえば、消えてしまえば、どれだけ楽になるだろうか。
そんな時、優しく誰かが僕の背中を押してくれた。
大丈夫だよ、そう言ってくれているかのように。
振り返っても、そこには誰もいなかった。でも、
「遅くっても、君はきちんと成長してるじゃない」
「綺麗な色じゃなくとも、君はいろんな人を楽しませてるじゃない」
優しく何度も励ましてくれる。
「今年もまた、たくさんの人が君の綺麗な姿を待ってるよ、だから、くよくよしないで」
そう耳元で囁いてくれた。強すぎる口調でもなく、包み込むほどの語彙でもないけれど。
【秋風】
11/14/2022, 11:35:20 PM