茶々

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 桜祭りの縁日が畳まれた道を、1人歩く。川沿いで毎年行われる祭りは例年通り賑やかで。でもそんな中行く気には到底なれない僕は、こうして夜に一人桜祭りを実行している。
 去年は彼と一緒に歩いて、花灯を満喫して、他愛のない話をして。懐かしいな。左手を桜を乗せた風がなぞり、少し寂しくなる。遠距離にさえならなければ、こんな思いはしないはずだったのになぁ。ま、仕方ない仕方ない。
 満月がよく映える今宵はこの世の情景とは思えないほど美しく、ふわりと外界と境界ができる。
 彼奴の元にも、この桜風が届けばいい。そして、少しくらい寂しい思いをすればいいと八つ当たりをする。

お題:『桜風を貴方に』

6/1/2024, 10:05:38 AM