かたいなか

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世では早くも、バレンタイン商戦がスタート。
今年はどうやら去年以上に、
「箱の価値」を上げてきている企業が、多いような、元々去年の時点で既に多かったような。
その中で着実に種類を増やしている気がするのが、
やはり、「20歳『以上』」からの楽しみ。

アルコール入りのチョコレートです。

さて。
3連休の都内某所です。
某深めの森の稲荷神社、敷地内の広場では、
店舗を持たぬネット専門パティシエや、動画配信系アマチュアショコラティエが、
露店によって集まって、それぞれのチョコのお披露目会、即売会を開催。
大企業のそれとは違う、個性豊かなバレンタインスイーツを、多数並べておったのでした。

ところでそんなチョコの中には
もちろん、ほぼほぼ当然のごとく、
アルコール入りのチョコレート菓子も、まぁまぁ、
含まれておりまして。

「ふむ。面白い。焼酎のガナッシュサンドですか」
今日のお題回収役、別世界出身のコーヒーマニアさん、「世界線管理局」なる厨二ふぁんたじー組織勤務のビジネスネーム「ツバメ」も、
ココアの良い香りにつられて、ふらふら。
スイーツ露店を歩いておりました。
「ビールチョコは面白い。4個入りをひとつ。
それから梅酒チョコも、4個入りを」

別世界出身ながら、こっちの文化や食べ物が、とってもとっても気に入ってしまったツバメです。
最近はお酒、特に和製酒も、ちょっとずつ飲み始めた様子。香りと余韻が好きなのです。

「うん。 良い」
日本醸造のビールを使ったチョコに鼻を近づけて、
20歳未満購入禁止のそれの香りを、
ツバメはたんと、楽しみました。
「そこの酒粕生チョコも頂きたい。
いや、そっちは16個入りを、みっつほど」

このチョコは、あのコーヒーに入れて。
このチョコは、そのコーヒーと一緒に。
このチョコはアイリッシュに混ぜよう。
大吟醸に果実酒に和製ウィスキー、様々なチョコを少しずつ、満遍なく、
ツバメはそれぞれ購入して、にっこり。
「ひとまず、すべて試してみて、
美味かったものを明日、まとめて買い直そう」

稲荷神社の即売会は、連休いっぱい続きます。
そして世界線管理局勤務のツバメも、この稲荷神社をの宿坊を拠点として、
こっちの世界での仕事を数日間、こなします。

そういえば宿坊を貸してくれている一家の旦那さんは、お酒が大好き。
「漢方外来勤務から、夜に帰って来るハズだ」

ちょうどお嫁さんの方が宿坊におりましたので、
今夜一緒にどうですか、と聞きますと、
神社近くで茶っ葉屋さんも営んでいるお嫁さん、静かに穏やかに頷きまして、
チョコによく合う抹茶と薬茶と、それからチョコに合う少しの和製調味料とを、
持ってきてくれることになりました。

「部長は甘いものをあまり好まないから、
誘っても無駄だろうな」

まぁまぁ、味の好む好まぬばかりは、仕方無い。
ツバメは購入した様々な和酒入りチョコを、借りている大部屋のテーブルにまとめて置いて、
そして、自分に与えられた仕事の最初の段階を終わらせにゆきました。

『誰が「誘っても無駄」だって?』
その過程をチラッと見ておったのが
ツバメ同様に別世界出身のドラゴン(生物学)
上司のルリビタキ部長でして。

『酒の匂いだ』
クンクン。くんくん。 ドラゴン部長はテーブルの上の、色とりどりなチョコに鼻を近づけました。
『ん?』
どの箱にも、大なれ小なれ、このような一文が貼り付けられておりました。

<20歳未満の方はお召し上がりになれません>

『にじゅっさい』
ドラゴンは長寿でした。
20歳なんて、とっくの昔に過ぎておりました。
『ふむ』
ドラゴンの本能は、このチョコを直ちに摂取すべきだと誤作動していますが、
本能に従ってパックンチョすれば、部下のツバメがカンカンになるのが、見える、みえる。

『……』
見なかったことにすべきか、
食って新品をしれっと置いとくべきか。
悩んだドラゴンは最終的に、本能に勝てませんので、もぐもぐ、ぺろぺろ。
20歳未満厳禁チョコを、食べてしまいました。

『不思議な味がする』
その後のドラゴンの未来については、お題の外なので詳細は書きません。
『不思議だ。 不思議だ……』
ただ最終的に、ドラゴンの偽装工作は、ツバメが買ってきたより多くの酒チョコが上がっておったことで、
ガッツリ、ばっちり、部下にバレましたとさ。

1/11/2026, 3:02:18 AM