遠くの街へ
みんな大っ嫌い
そんな思いで家を出た。
お母さんもお姉ちゃんも先生も!みんなみんな大嫌い!みんな私のことわかってくれない。
走って走って、今どこかもわからない。
趣味もないのにいっぱい貯めたお小遣い。
使い切るまで、使い切っても帰らない。
スマホには通知が溜まってる。出て3時間は経ったかな。通知をオフにしてまた歩き出す。
…海の音!
音のする方へ走ってく。綺麗な海だ。
さっきからブーブーうるさいスマホをそんな海に投げ捨てた。すぐに見えなくなった。
昔聞いた絵本の話。海の底には綺麗な人魚がいて、毎日踊って歌って楽しく生きているらしい。
そんな話がふと頭によぎった。あるわけない、現実なんかにそんな綺麗な話が。
でも今は消えてなくなりたい。
汚い現実より綺麗な嘘。
綺麗な嘘にしがみつくしかない。
ちゃぷん
何かが水面に跳ねた。
いつもならただの魚だと思うだろう、けど今は希望を持ってる。
きっと人魚だよ。
ただの水音が私の背中を押していく。
遠くへ、遠くへ。嫌なことなんて忘れて。忘れさせて。
いつのまにか肩まで濡れてる。しょっぱいね。
息が苦しい。苦しい。苦しい。苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい!!
涙は消える、海になって。もう陸は見えない。
やっと幸せになれる。
ぶくぶくぶく
その女の子は、最後に夢を見た。
スカートがヒレになり、綺麗な人魚と共に踊り歌って幸せな日々を。
女の子は海の底の、遠い遠い人魚達が暮らす街へ行くことを夢に見ていた。
この女の子人間と人魚のハーフにしたかったけど
体力とノリ的に書けなかった。
陸の空気が合わなかっただけで、
海の底で波に揺れながら楽しく過ごしてて欲しい。
死ネタにする気はなかった。てかなってないもん。
この後は天国とかじゃなくて自分も人魚になるよ。
きっと。
2/28/2024, 5:11:26 PM