「写真、良かったらみんなで一緒に撮らない?」
決死の思いで密かに想いを寄せている相手に少し震えた声でそう訊ねた。今日は体育祭で、どこかしこで皆も写真を撮ってる。例え私が彼の隣を絶対に陣取るつもりだろうが、クラスメイト数人で写真なんて怪しくもなんともないはずだ。うん、そのはずである。
何も言わない彼に内心ばっくばくで待っていると、やがて「あの」と小さな声が聞こえた。
「その後で…ツーショット、とか、だめすか、ね」
現実が理想を越えないでほしい。
"理想のあなた"
5/21/2024, 3:47:23 AM