いぐあな

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300字小説

英雄の像

 俺達、兄弟の岐路は村が戦火に包まれたとき。兄は魔王軍の将軍に保護され、俺は国王軍の勇者に保護された。そして、それぞれの陣営で育てられ、今この時、敵同士として再会した。
「まさか、お前と戦うことになるとはな……」
「……兄さん」
 お互いに剣を構え合う。そして……。
「いや、なんで俺達戦わなきゃいけないんだ?」

 初夏の抜けるような青空に祝いの楽の音が響き渡る。俺達が互いの国の状況をじっくりと話し合い、それぞれの言い分を持ち帰り、戦いに疲弊していた国王軍と魔王軍が和平を結んで何度目かの記念日。広場で除幕式が開かれる。
「……まさか俺達が銅像になるとはなぁ……」
 兄と顔見合わせ笑い合う。
「祝い酒でも飲みに行くか」

お題「岐路」

6/8/2024, 11:30:28 AM