猫宮さと

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《好きな色》
どこかのみどりのもりのなか、『ふしぎないきもの』がすんでいました。

『ふしぎないきもの』はキュイキュイなきながら、まいにちもりのあちこちをさんぽしました。

さやさやゆれる、たくさんのみどり。
あちこちにてんてんとさく、ちいさなしろ、あお、ももいろ。
あきがくると、そんなもりもきいろやあかにそまります。
そしてやがてくるまっしろいふゆのため、きのははおちて、やさしいちゃいろのつちにまざります。

『ふしぎないきもの』はいつもこうして、たくさんのいろをみてきました。
どれもきれいでだいすきないろばかりです。
だから『ふしぎないきもの』はあるくのがだいすきでした。

きょうもたくさんあるいたと、『ふしぎないきもの』はいずみのそばでやすんでいました。
そらには、まんまるおつきさま。
いっとうだいすきなきいろをみつめ、『ふしぎないきもの』はおもいました。

もりのそとでみるおつきさまは、どんないろだろう。

そうかんがえると、わくわくがとまらなくなりました。

もりのそとにでてみよう。
たくさん、いろんなところをあるいてみよう。
いろんなところのおつきさまのいろをみるんだ。

わくわくしながら、『ふしぎないきもの』はねむりました。

そしてつぎのひ、『ふしぎないきもの』はもりのそとにでました。
はじめてのせかいは、どんなところかな。
だいすきないろがふえるといいな。
ちいさなからだに、ちょっぴりのふあんとたくさんのワクワクをつめこんで。

6/22/2024, 1:59:04 AM