霜月 朔(創作)

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輝き


夜の底に沈むように、
私の想いは、
緩やかに壊れていく。

触れた指先の温もりが、
まだこの肌に、
焼き付いているのに、
君はもう…居ない。

君の瞳に映っていた私の影は、
もう、何処にも無くて。
今は、目の前で微笑む、
愛しい彼だけを映しているんだ。

それでも私は、独り。
君の面影を探してた。
闇の中で見つけた、
微かな、輝き。
それが、最早手の届かない、
名残だと知りながら。

君は、私を愛したことが、
あったのかな?
それとも。
ただ寂しさを埋めるだけの、
夜の戯れだったの?

答えを聞くこともなく。
私の想いは、ただ。
記憶の狭間に溶けていく。

でも、それでいいんだ。
君が幸福であるのなら。
私はただ、消え去るだけ。
今はもう…遠い記憶となった、
あの夜の輝きとなって――




―――



時間よ止まれ



お前は少し照れた顔で、
優しく微笑んでいた。

お前が居て、
俺が居る。
ただ、それだけ。

それなのに——
この瞬間が、
何よりも愛おしく、
何よりも幸せだった。

風がそっと髪を撫で、
遠くで鳥がさえずる。
世界はゆっくりと、
流れているのに、
この時間だけは、
永遠のように感じた。

束の間の休息。
誰にも邪魔されない、
穏やかなひととき。

時間よ、止まれ。
この温もりを、
この景色を、
心に焼き付けるために。

何度願っても、
時は無情に過ぎていく。

それでも——
お前と過ごす、
この一瞬が、
俺の世界の、
唯一の希望なんだ。

2/17/2025, 2:54:55 PM