千歳緑

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快晴



 ある漫画を読んだ。

『若かったあの頃、自分は何処まででも行けると信じていた』

 私と真逆だった。

 毎日の登下校の中、自分は何処にも行けないと信じ切っていた。



 晴れた日もあった。
 遅くなって暗い日もあった。
 雨の日はバスに乗った。
 曇りの日は、下水道の蓋につまづいて膝から血を流して歩いた日を思い出す。



 大体、下を向いて歩いた。
 快晴の日だけは顔を上げていたかもしれない。
 山の上の学校だったから、下ると海が遠くに見えたから。
 空とは違う、群青の海。
 鮮やかなブルー。

 思い出せるのは、やはり自分が顔を上げていたからだろう。
 毎日じゃ、なかったとしても。



 今の私の目に、あの青さは映るだろうか。


4/13/2026, 12:09:51 PM