〜どこまでも続く青い空〜
僕は鳥籠の中の鳥
文鳥だ
飼い主はここで僕のことをじっと見ているあの人間だ
「今日も愛らしいねぇ…」
そう言って手を差し出してくる人間はなんだか図々しいから僕はいつもいつもつついたり噛んだりしている
「いでっ…!!」
僕は街角のペットショップで売られていて子供や他の動物の観察をするのが大好きだった
でも、その日は続くことはなくてこの人間に飼われた
他の動物が何をしていてどんな風に人間に媚び売ってるのか見ていて楽しかったのに
それに、隣の籠の中には僕の好きだった文鳥の子がいたのだ
それなのに、それなのにこの人間わ……
「ご飯だよ~」
のんびりとした声色でそう言って小さめのおにぎりを僕にくれる
とりあえずご飯やまわりのことはしてくれているのでそこまで不快では無いが不意に触ってこようとするのが嫌なところだ
「今日は飛ぶ練習しようか」
籠の中に手を入れて僕のことを呼ぶ
「白伽?早く出ておいで」
僕はまだ飛べない
だからこの人間は僕が大空を飛べるようにとずっと練習させる
でも、少しでも長く滑空できると人間はご褒美のおやつをくれるからそこだけは好きだ
「少しだけ距離を伸ばそう、1回だけ羽ばたく必要があるから少しだけ難しくなるよ」
そういった人間はいつもよりも長く距離を取り手を広げて【こっちおいで】と言っているような顔で見てくる
羽を広げて滑空する
少しずつ下がっていくからだをあげるためにバサッと羽を動かす
羽を動かすとズキっと痛むから動かしたくないのだがおやつのためにと頑張って飛ぶ
「おぉ!凄い凄い!いい感じじゃん!」
ふふんと胸を張りドやってみる
手のひらには僕の大好きなフルーツ
パクパクと必死にがっつく僕を見て安心しきった顔をした人間は横目に口を動かす
「もっと飛べるようになったら大空に解き放ってあげるよ、また広い世界をみておいでね」
そう言って僕のことを鳥籠の中に戻して部屋を出た
1ヶ月後僕は大空へと飛ばされた
「え……?な、なんで戻ってきたんだ?なんで……」
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白伽は人と鳥のハイブリッドで背中に翼がはえている
あの子は元々大空を自由に飛ぶ鳥のようだったが人間に捕まりペットショップへと売られた
俺の住む町のペットショップでは人とのハイブリッドがよく売っていた
白伽と横の鳥も同じで人とのハイブリッドだった
彼は他の動物たちの様子を観察するのを好んでいた
だから俺の家に連れてきても良かったのかと何度も考えていた
よく噛み、よく食べ、必ず飛ぶ練習に付き合ってくれた
やっと宙に留まれるくらいに飛べるようになった
だから、かれをしぜんにかえすときがそろそろやってくる
悲しかった
でも彼にとってはそこが本来の居場所なのだ
ここにとどまらせることは出来ない
だから……
「さぁ、行っておいで、今から君はどこまでも続く青い空を飛ぶ自由な小鳥だ」
そう言って彼を空へと飛ばす
少し悲しそうな顔をして飛び去って行く彼
残るのは白く綺麗な羽が数枚だけだった
バサバサと羽の音が聞こえた
窓の外彼が戻ってきた
ただいま…
そう細く寂しそうな声で僕の名前を呼びただいまと言う
「え……?な、なんで戻ってきたんだ…?」
恋しかった……
そう言って彼は部屋の中へと入ってきて俺に抱きついてくる
大空の匂いをまとったまま
10/23/2022, 2:59:08 PM