霧夜

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星々の光が降り注ぐ、小さな丘の上。

俺とこいつしか知らない

秘密の場所。

空を見上げれば、どこでも同じような景色が見れるはずなのに

ここで見る景色は、なにか特別なものに感じられた。

「月が...綺麗だな...」

そう呟く声が、隣から聞こえてきた。

ここから見る月は、確かに大きく、そして日時は輝いて見える。

「あぁ...たしかに綺麗だな」

俺はそんな月に見惚れながら、そう返事を返した。


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「月が...綺麗だな...」

自然に、ポロリと零れた、その言葉。

月明かりに照らされたあいつは、まるで天使のように美しく、輝いていて

そのあまりの美しさに、つい本音が零れてしまった。

「あぁ...確かに綺麗だな」

あいつはこちらを見ることなく、輝く満月を眺めながら

そう呟いた。

こいつは多分、この言葉の意味を理解していないのだろう。

...だが今は、これでいい。

いつか、いつか、隠すことなく

この気持ちを伝えられますように、と。

願いを込めながら、俺は再び広がる星空を眺めた。

#夜景
62作目





9/18/2023, 11:20:41 AM