「亮太、紙ヒコーキつくろうぜ!どっちが遠くまで飛ばせるか勝負な!」
彰の声が教室に響く。こないだの席替えで、たまたま隣になって仲良くなった男子だ。彼の俺に対しての誘いに、他の男子もわらわらと集まってくる。
彰はクラスの中心的存在だった。対する俺は、お昼休みに図書室で本を読んでいるような生徒だった。新学期が始まって四カ月経ったけど、あまり馴染めてない。
彰は集まってきた男子と楽しそうに話ながら折り紙を折っていた。俺と同じように黙々と折っているやつもいる。
「うっわ、晃輔のヒコーキいかつ!絶対飛ぶやつじゃんそれ」
「ふん。そうだろ?こないだYouTubeで見たんだよな。凄いカッコいい紙ヒコーキの動画」
意気揚々としていた晃輔の紙ヒコーキは、自重でぽとりと落ちていってしまった。残念がるものもいれば、自分の勝利に一歩近づいたと安堵するものもいた。俺は後者だった。
「あ〜、落ちちゃった。期待してたのに……。次誰飛ばす?」
「お、俺、やってみてもいいか」
そろりと手を挙げる。男子たちは俺のほうを見た。晃輔は、お手並み拝見と言いたげな表情で俺をみていた。
お題:落ちていく
11/23/2024, 11:49:05 AM