—冬の務め—
息を吐くと、白く目に見えるようになってきた。手をグーにして、息を吹き込む。
駅に向かう道の途中、クリスマスはまだ一ヶ月も先なのにイルミネーションの準備が進んでいた。
「パパ見て、すごい!」
「うん、そうだね」
今日は、電車で二駅隣の町で冬祭りが開催される。僕たちはそこに向かっていた。
「そういえば、今年はサンタさんに何を頼むんだっけ?」
「ゲームだよ。あー、早くサンタさん来ないかなぁ」
「もうゲーム機で決まり?」
「うん」
子供の頃は僕も待ち遠しかった。だが、親になった今だから分かる。今は戦いのシーズンだ。
子供の夢を壊さないように、こっそりとやる必要があり、尚且つ、注文通りの品を用意しなければならない。
息子が欲しがっているゲーム機は、抽選に当たらなければ購入できない。実はもう、二回落選していた。
「パパ大丈夫?こんなに寒いのに、汗かいてるよ」
「あぁ、パパは代謝がいいんだよ」
さぁ、これからが本当の冬の始まりだ。
お題:冬へ
11/18/2025, 7:08:44 AM