Open App

カシャンと軽い金属の音がして、頭をしたたかに打つ。
後頭部にじわりと広がる痛みがなかなかに鬱陶しかった。
閉じ込められてからどのくらいたったのだろう。
いい加減な網目から覗くのは青い空だ。
この背中にある翼はなんのためにあるのか。
最後に空を飛んだのはいつだったけ。
光の入らない瞳に、哀愁が漂っていることだろう。
いつからか、このかごから逃げようとすることさえしなくなった。
たとえば細くて簡単に折れてしまいそうなこの網を破壊しようとしたとする。だが、泥沼にはまってしまったように、身体は動かない。
深くため息をついた。自分の情けなさに、苛立つ。
こういうときはもうどうにもならない。
ペットボトルを手にして、嚥下する。
それからベッドの上で布団にもぐり込む。
数年ぶりに空を飛ぶ夢をみた。

7/26/2024, 7:05:57 AM