hot eyes

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俺が少し回想に頭を使うと、ここの人物達は時が止まったように動かなくなる。
(俺の思考から色づいてくのは、俺がこの世界の中心になって......きっとこの子達の会話だって俺が......世界観を考えろ俺...)
「...本当にゼンマイがついてんのかな」
俺の放った一言は、誰にも拾われることなく床に落ちていった。


「よし、次行くか」
ぺちっ、と膝を叩き「よっこらせ」と年老いた掛け声をつけて立ち上がった。
一番後ろの席まで向かい、閉ざされた扉の前に立つ。

扉には黄色いテープが一つ。そこに黒色で『きーぷ あうと!』と書かれていた。
(キープアウト...?立ち入り禁止、だっけ確か。まぁいいでしょ)
俺は扉に手をかける。

「お客様」

すぐ後ろで声がして、俺はびっくりして肩を震わせた。
「この先は立ち入り禁止です。お戻り下さい」
「...す、みません」
ぱっ、と手を離す。
「......この先ってなんで立ち入り禁止なんですか?」
俺は聞いてみた。
「............」
深く帽子を被って、何も話さない。俺は返事を待つようにつられて黙った。
「...この先は不十分な空間です。立ち入るのは危険です」

不十分な空間。

(そうだ、俺はこの以前を覚えてない。何があるのか......)
「......わかりました」
俺は奥に向かうことを止めた。

「それでは、ごゆっくり…」
「ちょっと待ってよ」
「はい、なんでしょう」
「俺、君の話が聞きたいな。それに、俺の話にまだ出てない。どうかな」

帽子から覗く目と合う。

これは、良いという事なのだろうか?


お題 「不完全な僕」

9/1/2024, 9:53:14 AM