俺の姉は占いにハマっている。
血液型占いから始まり、動物、水晶玉、数秘術……などを経由し今はタロット占いに落ち着いている。
解説本とにらめっこしてやり方を模索している姉に俺はずっと疑問に思っていたことを訊いてみた。
「姉ちゃん。なんで占いにそこまでの情熱を注げられるの?」
姉は顔を上げてさも当然かのように答える。
「なんでってそりゃあ、当たるわけないからよ」
予想しなかった言葉に思わず俺の目が点になる。
それに気づいているのか気づいてないのか姉は言葉を続ける。
「占いなんてね、テキトーなの。当たるわけないの。
でもそのテキトーが大当たりする時があるでしょ?
だからみんな勘違いするのよ。
あたしがそれを証明するんだから」
「……つまり?」
「察しが悪いわねー。
あたしがエセ占い師になって占いに縋るとロクな事にならないって身をもって体験させるのよ!
これまで何人か友達の紹介とかで占ったことがあるけどさ、テキトー言ってんのにほぼほぼ感謝されて……
だからあたしに適性がない占いを探してんのよ」
胸を張り、ドヤ顔をする姉に何も言えないでいると姉はズイッと鼻息が顔にかかるくらい俺に近づく。
「占いとかでもしも未来を見れるなら世界中の誰しもが占い師になるわよね? でもそんな流れはないでしょう?
だから占いなんてテキトーだってあたしから発信するしかないのよ。わかった?」
「……うん」
「じゃ、そういうことだから」
再び解説本とにらめっこを始める姉。
……なんでエセになりたいのに勉強するのかとか占い師の適性ありまくりなんじゃないのかとか、言いたいことはものすごくあったけど、とりあえずもう放っておくことにした。
……触らぬ神に祟りなし、だ。
4/19/2026, 3:33:45 PM