飛花

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「ほらすぐ〇〇は拗ねるから」
何回話しかけても無視してくるから諦めたら、そう言われた。
「別にわたし拗ねてないし」
「そういうとこが拗ねてんでしょ」
そういう意図して言っていないのに、悲しいかな人間は過去の経験から相手の気持ちを推し量る。今回は合ってない。本当に拗ねそうだ。絶対に拗ねてやんないけど。
「で、なんの話なん?」
「もういい、大したことないもん」
あーあ、こういう自分が嫌いだ。拗ねているようにしか話すことができない自分が。そもそもかまって欲しいから話しかけたくせに。
「……俺が拗ねるよ?」
予想外の言葉に慌ててしまう。
「あっえっ、どういう、いやなんでそうなるん」
彼は頬をつんとつついて言った。
「そういうとこ、可愛いんだもん」




#時間よ止まれ

9/19/2023, 2:24:09 PM