渚雅

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花びら
ビー玉
水たまり

目に映るすべてが特別なものに見えていた頃があった。

太陽は眩しくて、雨は煌めいて、雲は甘そうで。雪にはしゃいで、風に踊って、霧に隠れた。空を見上げて、地面を眺めて、耳を澄ませて 身の回りのすべてを受け止め受け入れ発見の喜びに身を任せた。

何もかもが新鮮で、知らないことばかりで、毎日が冒険。楽しくって仕方なかった。失敗だって怪我だって怒られたことだってぜんぶ。次の冒険のためのスパイスで、諦めることも懲りることも知らなかった。


世界は自分の為にあって。
世界の中心は自分自身で。
世界はどこまでも自分に優しくって。

恐れることなんてなかった。誰かが何かがすべてが、自分を守って肯定してくれていた。存在が無条件に許されていた。


「まだ、間に合うかな」

手渡された小さなガラスの玉を光にかざしてそんなことを思い出した思い出した

2/17/2025, 10:28:17 AM