名もない譫言

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「間違えるなよ」
「分かってるって」

 そんな会話が、何度も響く。今まさに、この宇宙船の酸素カプセルがパンクしそうになっている。

 なぜこんな危険な状況に居合わせているのか?答えは簡単、僕が宇宙飛行士だからだ。

 と言っても、初心者中の初心者で、操縦なども実際に動かした事も無い。

 そんな僕は今日、相棒の友人のミスで、酸素カプセルが地球に帰還前に切れる、いや、パンクしそうになるという事態に陥った。

 そんな中、勇敢にカプセルの修復をすると言い始めたのが、友人だった。その勇気に僕も心を動かされ、僕も修復を手伝った。

 正直言って、僕は焦っていた。みんなの命がかかっているんだから。僕は急かすように隣の友人を見る。

「間違えるなよ」
「そう何度も急かすなよ。緊張するだろ」
「でもさ、今のお前は、最後の希望なんだ」
「だから!」
「たった一つの希望なんだよ!」

 その一言で、友人は黙り込む。と共に、酸素カプセルが正常になった。

 後に僕はなんだか恥ずかしくなった。

3/2/2024, 12:29:07 PM