不者

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 銀 金に翠玉 金剛と
 声のひとつも 黙りと
 可愛げないは 七回目
 写真を見せて 呆け顔

 貴方の褒めたその味は
 貴方の好物だったのよ

 作ってみたいと強請り
 書いたレシピは三枚目

 財布に挟んだ二枚とも
 角に詰まって縮こまり

 式が落着き連れてった
 旅館一目行ってみたい

 初めて買った 腕時計
 私のじゃない 恨み節

 あれもこれも塵だから
 捨てておいてと満足気

 千里の旅も 一歩から
 長く歩いてきたものと

 隙間も空いて色もなく
 一重の名前も顔もなく


 貴方の好きなその味は
 貴方が得意だったのに

 










――――
(刹那)

4/28/2024, 12:12:48 PM