#スリル
道を歩いていてふと道路の白線が目に映る。その両端がギザギザ模様になっているのを見て、長年この街の車、人、雨、その重さ全てを受け止めてきたんだなぁと私は思った。
ふいに、ぱっと白線に飛び乗る。
奈落の底に落ちぬように、前を見据えて1歩1歩、歩を進める。地面の感触を味わうかの如く、指の関節に力を込める。
手の中にじんわりと緊張の汗が滲む。
車が通る。近くの犬が何かを察知したように騒ぐ騒ぐ。
1歩、また1歩。
私は歩を進め、
あっ!
奈落の底に落ちていく、
はぁっと大きく息を吐き、汗でぐちゃぐちゃな手を見つめ、私は震えるように笑った。
("スリル"という言葉を使用せずに日常の中に潜むささやかなスリルを味わう女の子の文章を書きたかった。)
11/13/2024, 7:51:22 AM