「今の俺、確実に最強」
右手にソフトクリーム、左手にソーダ味のアイスバーを持った大和は、両の瞳をぴかぴかに輝かせながら言った。俺は「よかったな」とだけ返して、ペットボトルの麦茶を呷った。
学校からの帰り道、ふらりと寄ったコンビニにて。腹こわすぞと言っても聞かなかった。それでも俺は両方食べたいんだと言い張って、大和はソフトクリームとアイスをレジに持って行ったのだ。人の忠告を無視しやがって。後悔しても知らねえぞとか思いながら、俺は棚から500mlの麦茶を選び取った。
ソフトクリームとアイスを交互に食べている姿は、確かに最強に馬鹿っぽい。いちいち「うめえー!」と大声で叫ぶのも鬱陶しい。高校生になったいま、背丈ばかりデカくなったが、中身は小学生の頃から全く変わっていない。
「おまえも食う?」
そう言って、幼馴染は無邪気に食べかけのアイスを差し出した。俺が目を逸らして「いらない」と答えれば、「えーいらねえの?」とつまらなそうにする。
「一口500円で食べさせてやろーと思ったのに」
「金とんのかよ。10円でも高いわ」
大和はけらけら笑った。アホみたいな笑い方も、ずっと前から変わらない。大和がそうやって笑うたび、なぜだか胸がへんに軋むことに気づいたのは、ちょうど去年の今頃だった。
変わってしまったのは俺だけだ。できることなら俺だって、昔のままでいたかった。この感情に、一生気づかないままでいたかった。
行き場のないこの気持ちごと、アイスみたいに溶けてなくなってしまえばいいのに。そんな、馬鹿みたいなことを思った。
【テーマ:子供のままで】
5/13/2026, 3:18:44 AM