午後の眠気が 肩を撫でるようにやってきた
木漏れ日が 少しずつ角度を変える
私は 一本の影のゆらぎに
まるで問いかけられているような気がした
風の通り道が 枝を揺らし
光の粒が 地面にゆるやかな祈りを描く
虫の声も どこか遠くで
忘れられた秘密をつぶやいている
さっきまで 誰かといた気がする
でもその輪郭は 木陰のように曖昧で
けれど確かにそれは 存在しているようで
心地よい温度だけが手のひらに残っている
木々のさざめきが 一瞬止まった
その静けさのなかで 私は
目に見えないものに 包まれていた
言葉ではなく
沈黙でもなく
ただ、存在そのものに
それは、幽霊だったのかもしれない
あるいは、私の記憶が見せた幻かもしれない
でも確かに、揺れていた
私の影と、もうひとつの影が
重なって揺れていた
7/17/2025, 11:38:39 PM