もんぷ

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波音に耳をすませて

 大学のメンバーで海。仲良い奴らどうしでひたすらビーチバレー楽しんだり水に浸かったりしてたのは楽しかったけど、ひたすらにはしゃぎたい奴らが男だけじゃとかなんとか言い出してそこらへんにいた綺麗な女の子に声をかけたりしたから飲み物を買ってくると適当に言って輪を離れた。せっかく仲良いみんなで来てるのに、知らない人いたら気つかっちゃうし、女の子が嫌いな訳ではないけど、そもそもおれイケメンじゃねーからかわいい子がいてもどうにかなろうとかなれるとかは考えられねーし。砂浜から離れたとこにある自販機で1人分のりんごジュースを買って、人が少なめな岩場の方に歩く。1人抜け出してめんどくさいやつ、というより大人数だから割と自由に離れたり戻ったりとしてるから特段変な行動をしてる訳ではない。ちょっとしたら戻るつもりだし。濡れた足とビーサンがペタペタして気持ち悪い。ちょっと歩いた先の岩場に適当に腰掛けてりんごジュースを飲む。波音と風の音に目を閉じて口の中の爽やかな味を反芻する。今は楽しい。楽しいけど、なんか違う。楽しいけど昔の方が楽しかったよなあと思う。どれだけ海に来たって波の音をじっと聴いていたって、昔から好きなりんごジュースを飲んだって、あの子どもの頃には戻れない。そんな当たり前のことを残念に思いながらぼーっと海を眺めていた。

7/6/2025, 10:26:50 AM