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 『過ぎ去った日々』が溶け合った海には後悔が浮いている。追体験したい程の楽しいことや喜びは、潜って探さないといけない。

 後悔を掬い当時を振り返ってはため息をついた。
 あの時の物言いは失礼だったかな、考えてから行動に起こせば違う結果を導き出せた?私の過去の集合体に後悔先に立たずのことわざが漂う。
 浮くのは私の心残りだから。戒めとして次の糧になるようにより良い言葉と行動の種類を増やして可能性を広げるため。

 気落ちした日もあれど潜れば優しく元気付けてくれる日々だってちゃんとある。潜って探す過程はまるで冒険者になったようで心が踊ってつい夢中になった。
 快晴、汗が止まらないほどの暑さ、水やり、向日葵と彼。とキーワードを並べて記憶の糸を頼りに進むと海中で花の形になって咲いている。彼の誕生花でもあるそれは、溌剌と愛嬌のある彼にとてもよく似合う私の好きな花。

「花はもちろんだけど、種も好きなの」
「縦縞の模様でかわいいよね」
「えっと、食べるほう…」

 きょとんとした彼。食い意地が張った女だと飽きれられたかもと、ホース片手に羞恥で赤くなった私に降ってきたのは、朗らかな笑い声だった。笑う彼と向日葵に残った水滴がきらきらと眩しくてずっと見ていたくて、その顔を引き出せたのが私で嬉しかった。

 ひとつの行いに注視する後悔とは違い、花を慈しむのと同じ様に五感を使ってその日を丸ごと噛み締めては元気をもらう。不安を感じた時にも潜って勇気を、そっと背中を押してもらった。
 

3/9/2023, 10:34:41 PM