「良いお年を」
白く無機質な部屋の中、ベッドから体を起こした君は窓の外を見ていた。やってきた僕に気がつくと柔らかく微笑んで、もう今年も終わるんだね、と呟いた。
「2人で初詣に行きたかったなぁ。再来年に持ち越しだね。」
少し寂しそうな表情で、賑わう街を見ながら君はそうこぼした。
「そうだな。次は一緒に行けるといいな。」
うまく言葉を見つけられず、月並みの言葉しか返すことができない。君の願いがほぼ実現不可能であることは君も僕も分かっていた。
重い沈黙だけが静かに部屋に広がっていく。
「じゃあ、そろそろ行くね。」
いたたまれなくなってしまい、僕はそう切り出して部屋のドアを開けた。
「うん。良いお年を!」
振り返ると、君が満面の笑みで手を振っている。僕も軽く手を振りながらそっとドアを閉めた。
この時はまだ、これが最後のやり取りになるとは全く思っていなかった。
まだ書き始めて3ヶ月ですが、私の文章を読み、ハートをつけてくださりありがとうございました。
来年も出来る限り毎日書き続けたいと思いますので、よろしくお願いします。
それでは皆様が良いお年をお迎えできますように。
12/31/2025, 2:59:28 PM