夜景
夜景が美しく見えるためのポイントは、最低でもふたつあるわ。ひとつは明かりを作ったり使ったりする何かが生息している、または無生物でもいいので存在すること。もうひとつは、夜景を可視光として認識する何かが夜景を見ること。こちらも光を認識して鑑賞できるなら人工物でもいいわね。簡潔に言えば光源と鑑賞者ね。でも基本的に限られた能力の生物が夜景を見るのが面白いのよ。あなた、夜景をどんなシチュエーションで誰と見るかが重要だと思ったの? あなたってかわいいのねえ。そうねえ。それ以外の問題として、人工物でないと美しいと思わない人も逆に自然物でないと美しいと思わない人もいるわ。知能を持つものってめんどくさいのよねえ。エイリアン観光事務局っていうけどエイリアンだけでもないのよね。ここで働くためにはとりあえず顧客の可視光域と文化背景を知っておかないと絶景夜景の案内はできないの。勉強しましょうね。
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蛇足。
熱源を光として感知するエイリアンにとって夜景観光案内とはなにかというのもすごく面白いと思います。工場とか温泉とか明るく見えそう。火山もめっちゃ明るいかも。可視光域が紫外線または赤外線に及ぶエイリアンにとっての夜景もいけてるかも、と書いて思いましたが、コウモリのような音波系の生き物が「夜景?なにそれ」と思いはしたもののVRで認識したら美しくてびっくりしたとかも面白いかもです。逆に視覚的な生き物がエコーロケーションの世界を絵として認識したらびっくりというのも楽しい。そうだ、未来的には、視覚を失った人も夜景を楽しめる時代がくるといいよね。今は夢物語だけど、たぶん不可能なことじゃないと思うんだ。
9/18/2024, 11:07:13 AM