ひとひら
ひとひらの花びらが、目の前を歩く、俺よりだいぶ身長の低い彼の頭に落ちるから。
あ、と気が付くなり、俺は彼の頭に手を伸ばしていて。
そのまま、そっと、頭の上の花びらを掴めば。
彼がくるりと、振り返って。
「なんだよ、チビだってバカにしてんのか?」
あぁ?なんて、凄んでみせてくるけど。
俺からすれば、小型犬が可愛く吠えているようにしか見えないから。
堪らず、彼の頭をくしゃくしゃと撫でてしまう。
それに、益々、小さな彼はぶつくさと文句を言ってくる。
顔を真っ赤にした彼が、やっぱり可愛くて。
俺の心に、ひとひらの淡い気持ちが募った。
End
4/14/2025, 3:45:06 AM