『大切なもの』
卒業式の日。僕は校門の前に咲いてる桜を見つめていた。
『なぁ、何ボケっとしてるんだよ?式始まっちゃうぞ!』
あぁ、ごめん。今行く。そう幼なじみに向かってそう呟いた。
『…今日でお別れだなぁ笑。お前は神奈川の進学校だっけ?いいなぁ。』
僕は苦笑しながら話を聞いていた。
時間は早くすぎるもので、式が始まる。
僕らは最後の校歌を歌った。 …今更だが、校歌を歌うのにこんな心を込めたのは3年間でこの日だけだろう。
__卒業証書が渡される。僕の名前が呼ばれた。
<●● ●●
はい。と精一杯の声で返事をする。
体育館上に響き渡った声。不思議と恥ずかしさは無かった。
学年全員に渡し終え3年生の別れの言葉と合唱。
旅立ちの日に__歌う中で少し泣いたのは僕だけの秘密だ。
全校合唱が始まる。『大切なもの』と言う歌だった。
―大切なものに気づかない僕がいた。―
そのフレーズが僕の心の中にずっと残っていた。
今までその理由がずっとわからなかったが、
今。分かった気がする。
もう学校に来ることはないという事実、誰もいない教室、体育祭、委員会、部活…
今までの思い出と経験、そして仲間との別れ。当たり前が崩れていくのを今嫌という程、痛感した。
式が終わり、校舎を見上げる
僕の、『大切なもの』は___
4/2/2026, 12:47:20 PM