小絲さなこ

Open App

「サンタを捕まえたい高校生男子」


「あのさぁ……24日、みんなうちに泊まりに来てくれない?」
「パーティーでもすんのか?」
「いや、うちに泊まってほしいっつーか、俺の部屋で朝まで過ごしてほしいっつーか」

二学期の期末試験も終わり、自宅学習期間という名の試験休み。
今日は、俺の家に集まりダラダラ漫画を読んだりゲームしているのだが、また悪友のひとりが妙なことを言い出した。

「なんだソレ」
「キモッ。何が悲しくて野郎四人でパジャマパーティーせにゃならんのだ」
「パチュラーパーティ?」
「んー、なんだっけ、それ」
「たぶん違うってことだけは、なんとなくわかるぞ」
「結婚する男が、独身最後の夜を男の友人たちと過ごすパーティー、だったはず」
「さすがー!」
「へーそんなんあるんだ」
「え、結婚すんの?」
「違う違う!」
「男四人、夜通し傷を舐め合う会なら遠慮する」
「つーか、クリスマスって家族で過ごすもんじゃなかったっけ」
「そうだよ。男女でイチャイチャするヤツらは間違ってる!故に、俺たちは間違ってない!」
「いやー、それもちょっとあるんだけどさ」
「あるんだ……」
「そういうことなら俺は辞退するぞ。そんな虚しいことするくらいなら、おかんの手作りケーキ食ってギャルゲして早く寝るわ」
「いやいや、そういうんじゃないんだって」
「じゃあ、なんなんだよ」

どうにも歯切れが悪い。

「……言いにくいことなのか?」
「あー、ちょっと人道的にどうなのかな、って思えてきた」
「まさかとは思うが、カップル狩りしようってんじゃないだろうな」
「違うよ!今年こそ、サンタを捕まえたいから協力してほしいなー、なんて……」

恥ずかしそうに言うバカに俺たち三人は顔を見合わせる。

「……なんて?」
「だからぁ、今年こそはサンタを捕まえたいんだよ。毎年いつの間にか寝落ちしててさ。気付くと朝でさ」

長い沈黙が流れているが、純粋バカ以外の三人は目で会話した。

(おい、どうすんだよコレ)
(さすがの俺でもこいつの夢を壊すなんて残酷なことは出来ねぇ!あとは頼んだ!)
(なんでお前ら俺を見るんだよ!)
(お前この中で一番頭良いだろ。なんとかしてくれ)

「すまん。そういうことなら、ちょっと協力できない」
「お、俺も、そういうのはちょっと〜」
「右に同じ」
「そこをなんとか!」
「ほら、俺たちがサンタ捕まえたら、他の家にプレゼント届けに行けなくなるだろ」
「う……確かに。そうかも」


────イブの夜

12/25/2024, 8:21:22 AM