星座
冬の夜、澄み渡った空。
冷たい手を擦り合わせながら、私は南東の空を見上げる。
真っ先に見えるのは、冬の星座の代表格であるオリオン座。
赤色のペテルギウスとリゲルという二つの一等星を持つ豪奢な星座だ。
その煌めく二つの星の間に斜めに並ぶ可愛い三つ子の下に、ぼんやりと霞みがかって見えるのはオリオン大星雲。
それは距離にして、光の速さで千三百年かかるという途方もなく遠い場所だ。
と同時に、日々新しい星が生まれている星の故郷でもある。
ガスが渦巻くこの星雲は、あのガリレオ・ガリレイが自作の望遠鏡を覗きながらのスケッチを諦めたという逸話が残るほど、夥しい数の星々が集まっている。
そこから目線を斜め左下に下っていくと、ひときわ鮮烈な光を放つ青白い星が見える。
その名はおおいぬ座のシリウス。
私が幼い頃、あなたから教わった初めての星だ。
全天で二十一ある一等星の中で最も美しく輝くその星の星言葉は、ギリシャ語で焼き焦がすものという意味を持つ。
あなたはその言葉通り、幼かった私の心を一瞬で焼き焦がしてしまった。
寒がりな私がこうして冬を待ちわびるのはそのためだ。
日一日と寒さが増してくる。
間もなく初雪が降るだろう。
いよいよ本物の冬の到来だ。
その頃になると、大層大袈裟な望遠鏡を担ぎ、我が家へとやってくる人がいる。
私が毎冬待ち焦がれる星好きのあなたと、今年も共に星を見よう。
お題
星座
10/5/2024, 11:15:51 AM