駄作製造機

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【柔らかい雨】

『アンタなんかいなくなれば良い!!!』

つい、そう言ってしまった。
家で姉と喧嘩した。

姉は生まれつき体が弱く、母達はつきっきりで私に構ってくれなかった。

そんな母にも、姉にも、存在自体が私のストレスだった。

ついいつもの喧嘩がヒートアップし、姉に酷いことを言ってしまった。

外は曇天で今にも雨が降り出しそう。

私は家から飛び出したのが悔しくて、姉が羨ましくて、大粒の涙を流しながら歩道を歩く。

それに呼応する様に雨が降り、私の心を移す様に土砂降りになった。

痛い雨。私の悪心を写しているみたい。
嫉妬と悲しさの涙が頬を伝うたびに、チクチクと皮膚が痛む。

泣き疲れ、道の端でうずくまる。

三角座りで顔を埋める。

しばらくそうしていると、ふと頭に当たっていた雨粒が消えた。

泣き腫らした顔を上げると、息を切らせた様子の姉が傘を渡しに差し出していた。

『はぁ、はぁ、、帰るよ。』

『、、アンタは良いよね。お母さんから優しくされて。』

口を開けば嫌な言葉ばかり。
こんな自分も大嫌い。

『、、私のことはどう思ってもらっても良いよ。でもね、、私のことで自分を嫌いにならないで。』

姉は濡れて冷たい私の体を抱きしめる。

『何よ、、私の気持ちなんて知らないくせに。』

『うん。』

『いつも寝てるくせに。』

『うん。』

『何にもできないくせに。』

『うん。』

『、、、ごめんね。お姉ちゃん。』

『いいよ。ほら、立って。お母さん心配してる。』

姉の手を取り、立ち上がった時にはもう雨は晴れてて暖かい太陽が顔を出していた。

『、、、大好きだよ。』

『うんっ、、』

柔らかい雨が、私の頬を伝った。

11/6/2023, 11:30:38 AM