冬になったらきっと私は消えてしまう。だからその時まで頑張って粘ってきたけど、もう限界なのかもしれない。
冬が来るのが怖くて怖くて仕方ない。けれどこれは私に与えられた宿命なのだ。私は
この宿命に立ち向かわなければならない。私は奥歯をぎゅっと噛み締めた。もう覚悟は出来ている。きっと大丈夫だ。春が来ればまた私の時期がやってくるのだ。そう思うといくらか心が軽くなった。
私が満開の時は人々はたくさん見にきてくれた。しかし、冬になると人々は目もくれない。私はそれが怖かった。そう、私は人々に忘れられてしまうのが何よりも嫌だった。
あんなに満開だった花びらも今ではすっかり朽ち果ててしまっている。
空では綺麗な花びらの代わりに雪がしとしとと静かに降っている。
zene
11/17/2024, 12:19:15 PM