幼い頃に読んだ
水木先生の『妖怪図鑑』
地獄絵図を
食い入るように 惹きつけられるように
何度も何度も見た
『虫を一匹でも殺せば地獄に落ちる』
この言葉が枷になった
虫が殺せなくなった
地獄に行きたくなかった
虫が出れば
父や母を頼る
今思えば残酷な子どもだ
歳を重ねると、
虫を殺さねばならない
状況が訪れた
覚悟を決めて、
ティッシュを使って
潰した
殺した
なんとなく開けて、
虫の状況を確認した
すれば、あんなに飛び回って
しっかり見えなかった虫の構造が
死によって
ありありとみえた
肢 翅 眼
食い入るように 惹きつけられるように
見た
さっきまでは飛んでいた
自分の手で止めてしまった
枷は外れた
虫を殺してもらっていたら
地獄に落ちなかったのだろうか
虫を殺してしまった私は
地獄に落ちるのだろうか
〜神様だけが知っている〜
7/4/2024, 11:21:09 PM