手紙が届いた。宛名はない。
シンプルなデザインの封筒の中には中身が入っているような変な重さがあった。
「誰からだろう」
【あなたは封筒を……】
A.開ける
B.開けない
→A
封筒をあけると中から一枚の手紙が。そこには差出人の宛名と共にこんなことが書いてある。
『十年後のあなたへ。元気にやっていますか。たまたま十年後のあなたに手紙を書くことができる機会があったのでこうして筆をとっています。』
その一番下には差出人の宛名が。
【差出人は……】
A.自分
B.あなたの知るあの人
→B
久々に、あの人に連絡をしてみることにした。
どうしよう、これで連絡先が変わってたりしていたら。最後にあの人に会ったのは、もう十年以上前のことだ。あの人は、まだ私のことを覚えているだろうか。
「久しぶり」
「うん、本当に久しぶりだね」
あの人は、十年前と全く変わらないままの姿だった。いや、実際には随分と垢抜けていて、いい意味で大人になったみたいだ。でも、あの人は確かに私の知っているままの姿で私に会いに来てくれた。
「いつのまに、手紙なんて書いてたの?」
私はなんだかそれが面白くって、隣を歩くあの人にそう尋ねた。
「そりゃあ、もちろん……」
あの人は昔と変わらない笑顔で、言った。
「十年後、あなたが連絡してきてくれますように、って」
どうやら私は、この人にまんまと踊らされていたらしい。
「最近出来たおすすめのカフェ、行く?私のお気に入りなんだけど。」
「いいね、行こ。話すことなんていくらでもあるんだから。」
2/15/2024, 2:39:17 PM