FICTION

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【新年】

世間でガンタンというのは祝日で、みんな休みらしい。
俺にとっては関係ないが。
0時を30分ほど回り、寝不足でボーっとしていた頭を切りかえて品出しに移ろうとした途端、自動ドアが開く。
「…らっしゃいませ」
俺の口と自動ドアが常に連携してればいいのに。
かったるい表情のまま客と目が合う。
「あれ?」
「あ…」
最悪な別れ方をした元カノだった。
しかも男と一緒だ。
目が覚めた。
何故か?手を繋いでいた相手が男が俺の友人だったからだ。
正確に言うと、数秒前まで友人だった奴。
俺を認識すると気まずそうな顔をしてひとり踵を返した。
元カノは何故か口元に笑みを浮かべている。
何がおかしいのか。
「元気?」
「まぁ」
「ねぇ。ここで会ったのも何かの縁だし、今度ご飯食べに行こうよ!」
女の脳内って狂ってんのか。
顔にも態度にもイライラが出る。
「仕事中なんで」
「相変わらずだね、そーいうとこ。」
つまらなそうに捨て台詞を吐き、何も買わずに店を出ていった。

最高の新年の幕開けだ。

1/1/2025, 2:19:57 PM