狐コンコン(フィクション小説)

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虹のはじまりを探して、歩いて、その先には何もなかった。

始まりもなかった。終わりもなかった。

遠くから眺めて、綺麗と思うその瞬間だけが虹の存在する理由だった。

空のように果てしなく広がるわけでもなく、雲のように揺らぎ動くものでもなく、太陽のように照らすわけでも、月のようにそこにあるわけでもない。

ただ気まぐれのように姿を見せて、美しさを散々見せびらかして満足して消えていくだけだった。

はじまりもおわりも無く、かといって始まりが見つからないからといって存在しないわけでもない。

虹は己の美しい姿を見せびらかしてサッサと消えていく、蝶のようなものなのかもしれない。

7/28/2025, 1:49:45 PM