龍那

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[特別な存在]

兄さんは特別な存在だった。

幼い頃から魔導書を読み。剣術を習得し。周りの大人を驚かせた。
飛び級で学園に入り、最年少で卒業した。
魔法が好きだった兄はそのまま研究職に進み、日常的な道具から研究器具まで、様々分野に魔法を浸透させた。

そんな兄さんのノートを見たことがある。

色んなことが書いてあった。
日記、魔術の覚え書き、母さんのレシピ。地名。
高層ビル。赤い鉄塔。高架を走る車と、新幹線の絵。
ぐしゃぐしゃに塗りつぶされた文字は読めなかったけど。
隅には「この世界を目指す」と見覚えのある文字で書いてあった。

「そっか。そうなんだね」
僕はそのノートをそっと元の場所にしまって。
今回も、彼の助けになれるよう頑張ろうと決めた。

だって彼は、昔から「私」の特性な存在なのだから。

3/23/2023, 11:46:25 AM